自動車豆知識普及1-MOST BUS

今日はMOST(Media Oriented Systems Transport)をご紹介させて頂きます。

MOSTの規格を定めて いるのはMOST Cooperation(MOSTCO)で、これは複数の自動車メーカーやOEMメーカー、半導体メーカーが共同出資して1998年に設立されている。 MOSTの運営委員会はアウディ/BMW/ダイムラーといった自動車メーカーに加え、アメリカのオーディオ機器メーカーであるHarman International Industriesの自動車向け部門であるHarman Becker、そして半導体メーカーとして米国のSMSCが加わっている。

 ちなみにこのMOSTは、なぜかMOST Networkとは呼ばずにMOST BUSと表記する事が多い(何しろMOSTCOの発行する文章に、明確にMOST BUSと記載されている)ので、これに従って以下MOST BUSと表記したい。

 MOST BUSの目的は、さまざまなインフォテイメント機器同士の接続である。当初考えられていたのは、CDあるいはVideo CDの再生である。最近ではすっかり影を潜めたが、一昔前は車内の音楽ソースがカセットテープ→CDに変わる折に、複数のCDをまとめて格納しておける ジュークボックスが流行した。このジュークボックスでは、複数枚のCDを格納したボックスをトランク、あるいは座席の下などに設置しておき、操作はフロン トパネルから行えるといったものであったが、こうしたシステムではコンソールパネルの操作部とボックスの間での通信を行うのにこのMOSTを利用した。

  また(日本では殆ど流行しなかったが)Video CDという規格が存在した。概ねVHSの3倍モードと同程度の画質ではあったが、CD-ROM1枚に74分の動画が収められるというものだ。アメリカなど ではこれを後部座席で再生するというニーズが高く(要するに家族旅行で、後席に座る子供が退屈しないようにビデオを流すという話だ)、こうしたケースでも コンソールパネルに内蔵したVideo CDのプレイヤーと後席(しばしば前席のヘッドレスト裏側とか、天井に折りたたみ式といった形で設置された)のモニターの間をMOST BUSで繋いだという話だ。

 ここでモニターケーブルなどを使って直接繋がないのはなぜか? といえば、これまでの車載Networkと理 由は同じで、配線がどんどん増え ることになるからだ。実際サードパーティー品では、こうした場合に独自のケーブルで直接接続することになるが、車内だからノイズ対策などもあってがっちり シールドが施された太めの線が車内を這い回ることにならざるを得ない。サードパーティ品はともかく、メーカー純正ではなるべくこうした事は避けたい。加え て言えば、メーカー純正で車内にサラウンドスピーカーを設置する、なんて場合もスピーカー配線が増えるのはなるべく避けたい。

 こうした事もあり、まずはマルチメディア系のデータを一括して転送できる車内用Networkの規格が求められたことに対応して成立したのがMOST BUSである。

  MOSTには、3種類の規格がある。当初策定されたのは「MOST25」と呼ばれ、23Mbpsの転送速度を持つものである。23Mbpsと いう数字はそれほど多くないように見えるが、例えばCDでの音声データの読み出しは1.2Mbps、Video CDだと映像が1.15Mbps、音声が0.224Mbpsで合計で1.37Mbps程度になるから、CDの音声にしてもVideo CDの映像にしても同時に15本を流せる程度のキャパシティがある計算である。

 MOSTは同時に最大64個までのデバイスを接続できるほ か、Plug&Play(後追いでNetworkに繋げると、すぐに使える)機能を 搭載するなど意欲的な構成だった。このPlug&Playは、例えば携帯プレイヤーを繋げると直ちに車内のオーディオシステムで再生ができるといった用途 に向けた機能であったが、さすがに第1世代のMOST25でこれに対応する製品は非常に少なかった。

 このMOST25の速度を単純に倍 増させたのが「MOST50」である。この背景にあるのは、音声はともかく映像に関してはVideo CDに代わってDVDが普及したことが要因としてある。DVDの場合、データが11.08MbpsとVideo CDの概ね10倍となっており、これをそのままMOST25に流すと帯域がやや不足気味になるからだ。

 このMOST50の後継として、 2007年に3倍の速度となる「MOST150」が登場することになった。2012年中には、実際に MOST150を採用した車両がマーケットに投入される事が予定されており、今後はMOST150を採用した車種はどんどん増えてゆくと思われる。

  速度そのものはそんなわけで25/50/150Mbpsという3種類の規格が存在するが、ほかにもMOST BUSにはいくつかの特徴がある。まず第1は、すべての機器がリング構造で接続される事である。図1はこれを簡単に示したものだが、データは半時計周りに MOSTのMaster→Slave #1→Slave #2→Slave #3と渡って、最後にMasterに戻ってきてこれで終了となる。



紹介の内容はhttp://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cew/20120606_537764.htmlより。
 

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